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イタリア北部の町、トレントにて、Don Angelo Cetto (ドン・アンジェロ・チェット) 誕生。

グアダルーペヴァレーに 移住したロシア系移民が、地中海の野菜や果実とともにブドウ栽培を「再開」する。

ドン・アンジェロ・チェット、メキシコに上陸。

ドン・アンジェロ・チェット、アメリカとの国境近くのバハ・カリフォルニア、ティファナに、酒類を扱う店を構え、商売を始める。「禁酒法」時代を経て、成功を収め、醸造業を開始する。

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ドン・アンジェロ・チェット、 イタリアからメキシコに、妻子を連れてくる。

次男、ルイス・アグスティン・チェット誕生。
ドン・アンジェロは、ロシア移民の家族からワイン造りのためのブドウを購入。 また、ティファナとテカテの間に位置する栽培畑、「ラ・エスコンディーダ」を購入。

ルイス・アグスティン・ チェットが事業に参画。栽培品種の取捨選択、品質向上、販売網の拡大などを進め、事業を軌道に乗せていく。

イタリア・ピエモンテ出身のカミーロ・マゴーニが醸造責任者として就任。同時期に、ルイス・アグスティン・チェットは、土地を購入を進め、栽培畑を拡大していく。

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カベルネソーヴィニヨン、ジンファンデル、プティシラー、ネッビオーロ、シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、シュナンブラン等を栽培。品種特性に合った区画、醸造方法を探究。

ワインの輸出開始。 カリフォルニア、ロスアンジェルスへの輸出が始まる。同年、ドン・アンジェロ・チェット死去。

グアダルーペヴァレーに 新しいワイナリーを建設。

三代目のルイス・アルベルト・チェットが事業に参画。国内外へと事業拡大を続ける。

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ブランド初のヴァラエタルワイン ラセット プティシラー、ジンファンデル、ソーヴィニヨンブラン発売開始。

ラセット クラシックシリーズの輸出開始。イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スイス、ノルウェー等ヨーロッパ諸国に続き、アメリカ、カナダへの輸出が始まる。その功績が認められ、ルイス・アグスティンは、「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。

ネッビオーロのファースト ビンテージが収穫される。

国際コンクールで初のメダルを獲得。

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ルイス・アルベルト・チェット 国内市場・海外市場ともに字事業変革を実施。

ルイス・アグスティン・チェットの50年に渡る功績を讃え、プレミアムワイン「ドン・ルイス」ブランドのワインを発表。

ルイス・アルベルト・チェット「ナショナル・ワインメーカーズ・アソシエーション」会長に就任。

創立92周年。受賞歴は645に到達。

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ワインのイメージはさほど強くないメキシコで、高品質のワインを造り続けるワイナリー「ラセット」。どうしてメキシコの地でこんなにも美味しいワインが造れるのか。その秘密にシニアワインアドバイザーの戸井田が迫ります。


戸井田 まず最初に、メキシコワインの歴史について教えて頂けますか?


ルイス メキシコワインには400年の歴史があります。1500年代にスペイン人がメキシコを植民地化した際に、教会のミサ用のワインとして造られるようになったのが始まりです。しかし、その後スペイン本国のワイン産業を守るため、メキシコでのワイン生産が禁止されたこともありました。

 

history戸井田 1500年代と言うと、アメリカワインの歴史よりも古いですね。

 

ルイス そうです。カリフォルニアは元々スペイン領メキシコの一部だったので、今のバハ・カリフォルニアからワインの生産技術が北上して伝わっていったのです。しかし、メキシコワインはその後あまり普及せず、再び歴史上に姿を現したのは、20世紀の頭になります。国内消費が殆どでしたが、当時は内陸の輸送手段に乏しく、バハ・カリフォルニアで造られたワインは、一度アカプルコまで船で輸送され、そこからメキシコシティに陸送されていましたので、非常に手間がかかりました。


当社の創始者アンジェロ・セットがワイナリーを開設したのは1920年代ですが、本格的にワイン造りが始まったのは、1960~70年代になります。

 

戸井田 メキシコはテキーラのイメージも強く、砂漠があるような暑いイメージがありますが、葡萄にはどういった特徴が出ますか?

 

ルイス メキシコの国土は広く(日本の約5倍)、バハ・カリフォルニアはアメリカのサンディエゴとの国境付近にある最北端の地区なので、皆さんの想像しているよりも暑くないんですよ。メキシコには地域によって様々な気候帯がありますが、バハ・カリフォルニアは地中海性気候です。海からは冷たい風が吹き、アラスカからの寒気の影響も受けます。山脈があり、冬には雪も降るんです。

 

戸井田 そうなんですね。恐らく、私を含めた多くの人の想像とは違いますね。

 

ルイス ええ。メキシコというと、国全体が砂漠のように暑いと思っている人もいますね。バハ・カリフォルニアはメキシコの中でも非常に葡萄造りに適した地域で、日照量が多く、ブドウがよく熟します。また、収穫期には雨が降ることは稀なので、収穫時にブドウの水分量が過度に多くならず、果実に自然と凝縮感が生まれます。果実味が豊かで、タンニンもしっかりと感じられます。フランスやイタリアのワインと比べると、赤系果実のニュアンスがやや多く出ます。メキシコには伝統的な土着品種のようなものはありません。現在ラセットではイタリア系品種やカベルネなどの国際系品種を含め14種類の葡萄を栽培しています。今後日本向けにも、新たなセパージュのワインをご案内できるかもしれませんね。

 

戸井田 楽しみにしています。ラセット社の他にもメキシコにはワイナリーがあると思いますが、いったいどれくらいあるのでしょうか?

 

ルイス 恐らく50社くらいあるのではないでしょうか。ただ、殆どは小規模なワイナリーです。ラセットはメキシコでは最大手で、バハ・カリフォルニアで最も古いワイナリーです。ブラインドテイスティングで行われるワインコンクールなどでは、次々に賞を受賞しています。また価格も、同品質の他国のワインに比べて、非常にリーズナブルだと思います。

私は個人的に、良いワインに求められるものが3つあると考えています。

一つ目は、香りの印象と、実際に口にした時の印象に一貫性がある事。
二つ目は、飲み終わった後の余韻が長く続くこと。
三つ目は、飲んだ瞬間に美味しいと感じられ、心地よく、もっと飲みたいと感じられるかどうかです。

例えば、ラセットにはネッビオーロのワインがあります。3万円のバローロと比べれば格が違うかもしれませんが、10分の1以下のお値段で楽しめると考えれば、十分に納得できるワインだと思います。

 

戸井田 日本以外には、どういった国に輸出されているのですか?

 

ルイス 最も多いのはカナダです。2番目はEU諸国、3番目がお隣のアメリカになります。「メキシコ料理と一緒に楽しむ」という事だけにこだわらず、普段からの食事ともよく合うワインとして、家庭でも気軽に飲まれています。

 

戸井田 日本での知名度はまだまだ低いメキシコワインですが、今後はどういったシーンで飲んで欲しいですか?

 

ルイス メキシコワインだといって敬遠するのではなく、まずは一度飲んでいただいて、その美味しさを実感して欲しいですね。世界各地の展示会などに出展する際にも、メキシコワインだと聞くと飲まずに素通りされる事もありますが、そういった人たちは、せっかく安くて美味しいワインを手に入れるチャンスを逃していると思います(笑)。メキシコワインだといって固定概念にとらわれず、普段の家庭料理とあわせて、気軽に楽しんで欲しいですね。